学校帰りに、三人並んで歩く。私を真ん中にして、右にトーコちゃん左にレオ。この配置が、一番運気がいいらしい。

 こうしてまわりを見渡してみても、黒い翼はあまり見かけない。
 街にうじゃうじゃいても困るけど、悪魔を見つけるのは、思ったより簡単じゃない。

「アイツ、なんか悩んでんのかな」
「なにか心当たりは?」
「わかんねぇけど。こんなに休んだこと、なかったし。他に理由があるんじゃないかって」

 悔しそうなレオに、胸が苦しくなる。一番の親友だから、心配で仕方ないんだ。

「変なウイルスが流行っている、という話も聞きませんし。とりあえず、実際に会ったらわかるかもしれませんね」

 祈るような思いで、佐原くんの家の前に立つ。
 友達であるレオがチャイムを鳴らすと、しばらくしてドアが開いた。部屋着姿の佐原くんだ。

「えっ、みんな、なにか用?」
「おまえ、そんな言い方ないだろ。オレたち、佐原が心配で来たんだよ」

 面倒そうな声だったからか、レオがムッとした表情をする。

「特になんともないよ。明日から学校行けると思う」
「そうなのか? それなら、いいけど」

 顔色もそれほど悪くなさそうだし、体調はよくなったのかな。
 念のため確認するけど、黒い翼は生えていない。気にしすぎだったのかもしれない。