ボールの弾む音が、体育館に響いている。
 ドリブルで相手のディフェンスをいちにと抜き、高くジャンプしたレオがゴールを決めた。

 見学中の女子から拍手と「キャーッ!」の声援を浴びながら、レオがわたしの方へかけ寄ってくる。

「見たか? オレの華麗なドリブルからのジャンピングシュート!」
「すごかったね。女子からモテモテじゃん」
「こう見えて、二年のエースって呼ばれてるんだぜ」
「どちらのチームも三人ですし、夜宮先輩もいないですからね」

 トーコちゃんの付け足しが、チクリと飛んできた。

「おまえぇ、オレになんの(うら)みがあって」
「まあ、たしかに、さっきのはカッコよかったですけど」

 これがいわゆるツンデレというものなのか。
 さっきまで怒っていたレオの顔が、一瞬にして赤くなった。予想外にほめられてテレている。

 二人が仲良くしてくれるなら、わたしは嬉しい。

 そういえば、夜宮先輩も休みなんだ。学校へも来てないのかな。どうしたんだろう。


 ──久しぶりだな。こうして、誰かと一緒にいるの。

 ──死んだよ。七年前、まだ幼かった僕をかばってね。


 あのときの、先輩の寂しそうな目を思い出す。
 約束もあるし、心配だから様子を見に行ってみようかな。

「しかし、妙ですね。これだけ欠席が多いのには、なにか理由があるんでしょうか」