出口の外には、いつも通りクールな顔のトーコちゃんと、なぜか気まずそうなレオが待っていた。
 どうやら、さっきの低い叫び声を聞いて、危険を感じたレオが一目散に走ったらしい。わたしと間違えて、トーコちゃんの手を引いて。

「信じられません。違うと何度も呼びかけたのに」
「仕方ねぇだろ。気が動転して、耳に入って来なかったんだから」

 ピリピリした空気の二人を、まあまあとなだめる。
 そういえば、レオがもらった赤い風船がなくなっている。

 もしかしたら、もうひとつと同じように割れて消えたのかな。なにより、みんな無事でよかった。

 パークから出て、四人で帰りの電車へ乗る。動く景色を窓ごしに眺めながら、トーコちゃんがつぶやくように口を開いた。

「ごめんなさい。スタッフの人には、いてくれるだけでいいと頼んであったのだけど、まさかお化け役がおどかして来るなんて思わなかったわ」

 予想外の出来事で、トーコちゃんも少し動揺していたみたい。
 スタッフが悪魔だったとは、言えなかった。夜宮先輩も黙っている。

「私の占いは、外れたことがありません」

 シャーロットの頭をなでながら、トーコちゃんが顔を上げた。目の前に座る夜宮先輩をチラリと見て、わたしに耳打ちする。

「なので、彼は悪魔なのです。間違いないはずですが、確証はありません。私は、そういった類のものが見えるわけではないので。今日のところは惨敗(ざんぱい)です。出直します」

 目を丸くして固まるわたしに、レオがどうしたと話しかけてきた。

「なんでもないよ? 今日は、ありがとね……って」

 わざとらしく笑ったら、変な奴という顔で見られた。だって、こんな話できないよ。
 とりあえず、先輩の疑いは晴れたようだけど、トーコちゃんはまだあきらめていないみたい。