「わたしとレオがカップルだって。笑っちゃうよね」

 場の空気を変えようとして、冗談ぽく言ったのに、レオは黙ったまま。あまり見ない真面目な顔に、背筋が伸びた。最近、様子が変だ。

 何か言いたそうにしていたけど、トーコちゃんと夜宮先輩が来て、レオはまたそっぽを向いた。

「唯野くん、さっきのはルール違反です。あくまでダブルデートなのですから、別行動はやめてください」
「……意味わかんねぇ」
「次へ行きましょう」

 相変わらず不機嫌なレオを連れて、お化け屋敷の前へやって来た。建物が古くて、いかにも怖そうな雰囲気がプンプンしている。

 やっぱりムリだよ。入り口の前で止まったまま、震えて進めない。

「すげぇ……、なんかオーラがヤバいぞ」
「唯野くん、怖いの?」
「だ、誰が! 早く終わらせて帰ろうぜ!」

 挑発に乗ったレオが先頭を歩く。わたしだけ行けないとは言い出せず、一番うしろからついていく。

 薄暗くて、みんなもよく見えない。クモの巣だらけの壊れたお化けがいて、とっさに顔を伏せて誰かの腕を掴んだ。

「怖かったら、目閉じてていいよ」

 耳元で夜宮先輩の声がした。どうしよう。パニックだったと言え、自ら男子にしがみつくなんて!
 だけど、そんなことを気にしてる余裕はない……。

「うおぉぉぉ〜!」
「ギャァーー!」