しばらく歩いて、エンジェルエリアが見えてきた。そこら中に天使がいる。
 お手入れがされていないからなのか、ところどころ黒くなっていて、こっちに向けられた視線が少し怖い。

「さて、どうなるでしょうか」

 となりでつぶやくトーコちゃんに、私は首をかしげる。
 エリアへ入る直前で、夜宮先輩の足が止まった。
 どうしたんだろう?

「これはミッションデートです。夜宮先輩が、悪魔であるか否かを確かめるため」

 わたしに聞こえるくらいの声が、ポツリと落とされた。

「え、ええ?」

 なにそれ? 悪魔か確かめるって……。
 トーコちゃんは、夜宮先輩を疑っていたからダブルデートに誘ったの?

 慌てて反対となりを見ると、先輩は何かを考えるように動かない。

「まだファンタジーランドが栄えていた頃、このエリアはパワースポットと呼ばれていました。正面の噴水は、けがれを落とすと言われ、心を清めるために大勢の人が集まったそうです」

 悪魔だから、神聖な場所へ入れないんだ。
 わたしの天使の力でなんとかしたいけど、どうしたらいいのかわからない。