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「ええ……! い、今、なんて言ったの?」

 青く晴れた空の下。電車に揺られながら、デニムスカートをギュッと握った。
 目の前に座るトーコちゃんが、「ですから」とシャーロットの金色の髪をなでながら微笑む。

「今日はダブルデートってことになっているので、そのつもりで」

 トンネルへ入ったのか、窓の景色が一気に真っ暗になった。

「聞いてねぇし」

 頬杖をつきながら、わたしの横でふてくされるレオ。わたしだって初耳だよ。

 三日前、遊園地に行こうとトーコちゃんから誘われた。おじいちゃんの知り合いがやってるところで、特別に無料で入らせてくれるからって。

 大きくなったら、友達と行ってみたいと思っていたから、すぐにお母さんへ相談した。トーコちゃんとレオがいるなら大丈夫って、許してくれたんだけど。

「着きました。アレですよ」

 駅から少し歩いて現れたのは、さびれたテーマパークだった。看板は欠けてなくなった字もあるし、柱のところどころツルか伸びてからまっている。わたしたちの他に、お客さんは誰もいない。

「お、おい……、風水(かぜみず)。ほんとに、ここか? これって、廃墟(はいきょ)じゃねぇの?」

 引いた声で、レオが一歩下がった。

「……なんか、雰囲気が……すごいね」

 とてつもない負のオーラを感じて、わたしも足が動かない。怖い、怖いよ、トーコちゃん!