ガランとした店内。最後におばあさんが振り返って、あざ笑う表情をしたのが忘れられない。

「……あの人、どうなっちゃったの?」
「この天使の指輪(リング)の中に、封印されたんだ。これで、二度と悪事はできない」

 この駄菓子屋では、近年不気味なことが起こるとウワサが絶えなかったらしい。

 カラスに襲われたり、道に迷って何度も来てしまったり。とつぜん人が倒れて、病院へ運ばれたこともあったようだ。一ヵ月の間に、何度も。

 全部、おばあさんの仕業だった。不幸のオーラを吸い取って、栄養にしていたんだって。さっきの黒い石は、そのための道具だったのかな。

 そして、封印(これ)がデビルハンターの仕事……。


 お父さんとは、少し行った角で別れた。
 大丈夫かと聞かれたけど、平気と答えたからしっかりしないと。

 ふらふらと歩きながら、足がもつれる。
 目の前であんな光景を見せられたから、腰が抜けちゃったみたい。

 近くにあったバス待合室で少しだけ休憩(きゅうけい)して、わたしは学校へ向かった。