思い出したのは、夜宮先輩の背中に見えたもの。真っ黒で立派な翼が生えていた。

 時間を止められるなんて、普通じゃないとは思ったけど。

 まさか、悪魔だったなんて──。
 七年前の初恋の泥棒は、やっぱり先輩なの?


『このことは、誰にも話しちゃイケナイよ。僕たちだけの秘密』


 昨日の話を思い出して、そうかもしれないと青ざめていく。

 言えない。言ったら、先輩が封印されちゃう。
 だけど、わたしには悪魔を教える役目がある。

 真剣な顔のお父さんとお母さんを見ながら、ごくりとツバを飲み込んだ。

 わたし、これからどうしたらいいんだろう。