「災いが続く場所には、悪魔がいると言われているの。だから、私たちのような家系が人間を守っているのよ」
「わたしたちの……カケイ?」

 首をかしげると、お父さんはお母さんと目を合わせて、静かに言う。

「天塚家は、天使の子孫(しそん)だ。悪魔を封印できるゆいいつの家系のひとつ。そして、人と悪魔を見分けられるのは、そこに産まれた子どものみ。しかも、十三から十八歳頃までの思春期のうちだけだ」

 壁にかけられている紋章(もんしょう)を外して、わたしに見せる。天使の羽根がついた、とてもキレイな模様。

 頭の中にハテナがいくつも浮かんでいる。

 悪魔は存在する?
 わたしが天使の家系⁉︎
 なにがなんだかワカラナイ!

 しかも、悪魔を封印する役目があるなんて……。

「……そんなこと、いきなり言われても」
「リリアにも見えるようになるわ。大きくて、とっても美しいカラスのような黒い翼が」
「黒い……つばさ?」

「悪魔の(しるし)よ。見つけたら、すぐ教えてね。その悪魔を封印しなければならないから」