奥には階段が続いている。わたしは言う通りに、お父さんのあとを追った。
 アニメで見たことがある。思ったとおり、その先には地下が広がっていた。

 朝なのに、全く光は入っていない。ランプに灯りを点すと、ようやく辺りが見えてきた。
 宝箱のような箱がみっつ置かれていて、まわりの壁にはお札みたいな紙が貼られている。

 家の中に、こんな場所があったなんて知らなかった。

「この部屋はなあに? なんか、ちょっと怖い」

 となりに立つお母さんの腕にしがみつく。

「あなたが十三才になったら話そうと思っていたことがあるの。今から話すこと、よく聞いて」

 小さくうなずくと、黙っていたお父さんが口を開いた。

「この世には、悪魔と呼ばれる人ならざる者が身を隠して生活している。やつらは、人の不幸なオーラを食べて生きているんだ」

 ……悪魔。
 両親から出たその言葉に、どくんと心臓が大きく揺れて、手の汗がじわじわ強くなる。

 そんなウワサを聞いたことはあった。オバケや妖怪みたいなもの。単なる都市伝説の話だって、学校の人たちは笑っていた。

 この世に存在するはずがないって。
 ただ一人、トーコちゃんをのぞいて。