──真っ黒だ。

 朝起きたら、お父さんとお母さんがご飯の前に座って待っていた。二人して全身黒い服を着て、まるでお葬式みたい。
 いつもならバタバタ準備をしているのに、あらたまってどうしたんだろう。

「リリア、十三才の誕生日おめでとう」

 お父さんが、ミントカラーの包装紙に、パステルむらさきのリボンがついているプレゼントを渡してくれた。

 今日はわたしの誕生日だ。すっかり忘れていた。

「わぁ! ありがとう! 今、見ていい?」

 中を開けようとして、お母さんの手に止められる。

「リリア、その前に来てほしいところがあるの」

 ……なんだろう。
 急に空気がピリピリし出して、パジャマのズボンをギュッと握る。

 二人は目で合図し合って、土間収納(どましゅうのう)へ入った。指で床になにかを書くと、ぼんやりと扉が浮かび上がってくる。まるで魔法をみているみたい。

「えっ、どうなってるの?」
「いいから、ついて来なさい」