招待状が届いたのは数日前。

 二人の寝室でそれについて話し合った。

 元々、社交シーズン中の虫除けのために雇われたアリアだったので、本来の目的である「お仕事」だとアリアは目を輝かせた。

 しかし、フレディの顔は浮かなかった。

「アリアを誰にも見せたくない」
「そっ、それは、私が悪役令嬢として至らないから……」

 そんなことを言い出したフレディに、アリアが涙目になると、彼は焦って弁解した。

「違う! アリアがどうとかじゃなくて……ああ、クソっ」

 しょんぼりするアリアに、フレディは焦燥感を募らせていた。

「アリア、君を他の男の目に入れたくないんだ。俺だけを見ていて欲しい」
「フレディ様……はい、もちろんです」
「アリア……!」

 アリアにストレートに気持ちが伝わったと喜ぶフレディ。しかし。

「妻役として、フレディ様の演技には応えてみせます! ただ、やはり悪役令嬢にならないとお役に立てないと……」

 アリアの言葉にフレディはがっくりとした。

 やっぱりか、と思ったフレディはある条件を付けた。

「わかった。じゃあ、このお茶会でアリアに「妻役」をお願いするよ」

 ぱあっと顔を輝かせたアリアにフレディは続けた。

「ただし、「悪役令嬢」の扮装は無しだ。そのままのアリアで出席するんだ」
「むっ……無理です……」

 フレディの条件にアリアは即答した。