「局長、職場でイチャつくのはどうなんですか?」

 アリアをライアンの執務室がある塔の入口まで送った後、魔法省の局長室に戻ったフレディは、顔を真っ赤にしたスティングから呆れたように言われた。

「何のことだ?」

 部屋に入るなり、開口一番言われたことにフレディは首を傾げる。

「に、ににに、庭で! 奥様とキスしてたでしょ!!」
「――――!?」
「フードを被せていたけど、あの女性、奥様ですよね!」

 声を荒らげたスティングに、フレディは思わず眉を寄せて振り返る。

「あんな開けた場所でキスなんてしてたら、この塔から丸見えに決まってるでしょ!!」
「なっ……!!」

 スティングの正論に、フレディも赤くなる。

 フレディは見せつけようとか、そんなつもりは無く、ただただアリアが可愛いくてつい、してしまったのだ。それが意図せず、アリアの思う「お仕事」が成立してしまっていた。しかし、職場でそんなことをしてしまったのは不味かったようだ。

「明日には王宮中に噂が広まってるんじゃないですか? 覚悟した方が良いですよ」

 スティングの言葉に、フレディは頭を抱えた。