徐々に遠くなる意識の向こうで、お母さんが必死にわたしの名前を呼んでいる。
お母さんだ……よかった。
歪んだ視界の先にお母さんの顔が見えた瞬間、わたしはそっと意識を手放した。
数時間後。
ゆっくりと重い瞼を持ち上げ、ぱちぱちと数回瞬きを繰り返す。
ああ、わたし……過呼吸で倒れちゃったんだ。
また色んな人に迷惑かけちゃったな。
そんなことを思いながら目をぐるりと動かして病室を見渡すとわたしの手をそっと握って眠っているお母さんの姿が視界に入った。
きっと、わたしが意識を手放してからずっとこうして手を繋いでくれていたんだろうな。