そんなことを聞かされなくても退院したら学校にがちゃんと行くのに。
「それでね、3ヶ月後に合唱コンクールがあるんだけど……よかったら音瀬さんにピアノを担当してもらいたいなって思ってるの。どうかな?」
先生は不安そうに瞳を揺らしながらわたしを見る。
ピアノなんて、もう弾けない。
でも、先生はわたしがピアノをやめたことを知らないからお願いしてくるのも仕方ない。
何も言わないわたしに先生は焦ったように「急にごめんなさい。ゆっくり考えてくれていいから!じゃあ、わたしは失礼するね」と言い、席から立ち上がった。
「音瀬さんが学校に来るの、みんな待ってるからね」