きっと、言えばみんなはたとえ上辺だとしても悲しむと思ったから。


 いつもニコニコしているわたしが心の内でこんなことを思っているなんて思ってもないだろうし。


 死にたいというより消えてなくなりたい。


 自分という存在をこの世から消してしまいたい、そう思っている。


 じわりと目の縁に涙が染み出てきてぽたりと折り紙に落ちて丸いシミを作る。


 わたしは涙を服の袖で雑に拭うと折り紙の端と端を合わせて半分に折り、それを開いて真ん中の折り目に合わせて角を折り上げる。


 頭の中で折り方を再生しながら順序通りに折り進めて出来上がったのは紙飛行機。


 ……どうせ、誰にも見られずに捨てられるだろうし。


 そう思ったわたしは紙飛行機を空いている窓の外へと投げた。


 ふわり、と緩やかな風が吹いた後、紙飛行機はそのまま下に落ちていきわたしの視界から消えた。

 これがわたしの人生を変えることになるなんてこの時は思ってもいなかった。