「そうだね。紗那の周りの人は優しい人が多いとわたしも思う。でもそれは紗那自身が優しいからだよ。

その紗那の優しさを踏みにじった人たちのことはわたしは絶対に許さないし、天罰が当たればいいと本気で思ってる」



 真剣な眼差しでまっすぐにわたしを見つめる茉凛。


 わたしは何も知らないのかもしれない。

 彼女がわたしに対してどう思ってくれていたのか、あの出来事に対してどんなふうに考えていたのか。


 全部、今初めて知った。


 きっとわたしのために言わないでいてくれたんだと思う。
 わたし自身に向き合う勇気も強さもなかったから。