く、苦しい……。


 抱きしめてくれるのは嬉しいけど、だんだん苦しくなってきた。


 わたしは少し力を緩めてもらおうと彼女の背中をポンポンッと軽く叩く。

 だけど、わたしの耳に届いたのは「ぐす……っ」と鼻をすする音だった。


 ええ……!?泣いてる!?


 わたしは急いで身体を引き剥がそうとしたけれど、茉凛はより抱きしめる力を強めたので泣いているのか確認できない。



「紗那だ。ほんとに紗那がいる。よかった……っ」



 涙で震えた声で彼女はそう言った。


 その瞬間、茉凛がどれほど自分のことを心配してくれていたのか思い知って胸がぎゅっと締め付けられた。