以前まではたくさんの名前で溢れていたけれど、一度アンインストールしてからもう一度インストールしたからその名前たちはもうない。
【茉凛!来てくれてありがとう!】
わたしはメモにそう打ち込んで彼女に画面を見せると、ぱぁっと花が咲いたように笑い、
「やっと来れた!紗那に会えて嬉しい!!」
と、思い切り抱きしめてきた。
だからわたしもその華奢な体に手を回した。
茉凛にはたくさん心配かけちゃったなぁ。
彼女は声が出なくなっても何も変わらずに接してくれて、本当はめんどくさいはずなのに文句を一つも言わない。
そんな彼女の気持ちまで疑っているわたしは正真正銘の最低人間だという自覚はある。