愛のある言葉だけに耳を傾ける、か。
確かにわたしは出会った人たちのすべての言葉に耳を傾けていた。
いい言葉も悪い言葉も。全部。
その結果、わたしの心は壊れてしまった。
想くんの言う通り、二度と元には戻らないと思う。
例えば新品の綺麗な紙があってそれを人の心だとする。
だけどそれを一度ぐしゃぐしゃして広げたってもう元の状態には戻らない。
ずっとぐしゃぐしゃで傷ついたまま。
それが人の心の傷。どれだけ時間が経とうが元には戻らない。
その傷が薄くなることはあっても、消えることはない。
ふとした時に思い出してしまうこともあると思う。
それくらい、いい意味でも悪い意味でも言葉には恐ろしい力があるとわたしは思い知った。
返事は明日に飛ばそう。
なんて書こうかな。
涙をいっぱい溜めながら両手で目を抑え、わたしは想くんがどんな人なのか頭の中で勝手に思い浮かべていた。