めんどくさいって思ってるんだろうな。


 自分の娘が声が出なくなって、ピアノも弾けなくなって、交通事故にまで遭うなんて。


 それでもお母さんは優しいからそれを顔にも態度にも出さない。

 それが余計にわたしの心を苦しめる。


 誰も、わたしの本当の声になんて気づいてくれない。


 どんなに叫んでもそれは音にならない。


 全部、何も言えないわたしが悪いんだ。



「音瀬さん、暇つぶしに折り紙でもする?」



 しばらくして看護師さんがニコニコとした笑顔を浮かべながらわたしに色とりどりの折り紙が入ったケースを渡してくれた。


 高校生にもなって折り紙って……。