きっと、ちゃんと風上くんに向き合っているんだろうな。
小嶋さんが笑えるようになったのは最近だって言っていたからたぶん彼にも色々事情があるんだと察する。
こんがりと焼けた彼の腕には点滴の痕がたくさんあったことにも気づいていたし。
それでも何も言わなかったのは、彼がわたしに何も聞かずに普通に接してくれたから。
それにここは大きな病院。
何かがあって通っている人ばかり。
人に言いたくないことだってあるんだから無理に聞くのはよくない。
「音瀬さん、いい気分転換になった?」
小嶋さんがそっとわたしに笑いかけてくれる。
【はい、おかげさまで】