そしてその音が大きくなるにつれて男の子は焦ったような表情を浮かべ、「あ、やべ。小嶋さんだ。逃げなきゃ!」と言い、くるりと体を回転させた。
小嶋さんとはこの病院に勤めている看護師さんでわたしに散歩を誘ってくれた人でもある。
「こんなところにいたのね!風上くん!探したんだから!」
後ろを振り返ると、小嶋さんが鬼の形相でそう言いながらこちらに向かって歩いてきていた。
こ、怖い……!小嶋さんって怒るとこんなに怖いの!?
わたしも怒らせないようにしなくっちゃ。
「ついに見つかっちゃった。じゃあ、またいつか猫踏んじゃった一緒に練習しよう!バイバイ!」