瞬間、罪悪感に襲われて何も言えずにいると、今度は男の子が慌てて首を横に振った。



「いや!君を困らせたかったわけじゃなくて!君がピアノを見つけたとき、すごく嬉しそうな顔をしてたからきっと素敵な音を奏でるんだろうなって思っただけなんだ!」



 そう言うと、ふわりと優しく目を細めて微笑み、綺麗な瞳がわたしをまっすぐに見つめる。


 なんでだろう。


 この人の言葉は不思議なくらい心の中にすぅっと入ってくる。


 わたしは人の言葉を素直に受け止めることができなくなっているはずなのにこの人の言葉は受け入れることができた。


 まるで、想くんの言葉みたいに。



【ありがとうございます】