本当にそう思っているのかな、なんて思ってしまうわたしは悪い娘だ。
あの日から人の言葉や優しさを素直に受け取ることができない。
みんな嘘をついているのではないかと疑って、信じられなくて、曖昧に笑うことしかできない。
今だって、どうせなら死にたかったと思っていることなんて絶対に口に出せない。
いや、出したところで音にはならないんだけど。
“ごめんね”
口パクでそう伝えるとお母さんはぽろぽろと涙をこぼしながら首を左右に振る。
しばらくして病院の先生が容態を確認しにきてからお母さんを連れて出て行った。
わたしは交通事故に遭ったらしい。
全治二ヶ月の傷を負い、入院することになった。