なぜなら、わたしは幼い頃から地元のピアノスクールに通っていたから。


 始めたいと言い出したのはわたしからだった。


 幼いわたしからすれば、大きくて光沢のあるピアノがキラキラと輝いて見えて、何より自分で音を紡いで自由に奏でるのが好きだった。


 わたしはピアノが大好きだったこともあって、一生懸命練習した結果、数々のコンクールに入賞することができてお母さんとお父さんもすごく喜んでくれた。


 だけど、その分賞を獲ることできなかったときが怖かったんだ。


 お母さんとお父さんは励ましてくれるけれど、ピアノの先生や周りの目が怖くなった。みんなの期待に応えるのがしんどくなった。