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 重たい瞼をゆっくりと持ち上げると、ぼんやりと歪んだ視界にお母さんの顔らしきものが見えた。



「紗那……!?わかる……!?」



 そんな声が聴こえてきて何度かぱちぱちと瞬きすると、歪んでいた視界がくっきりとしてきて今度は心配そうに眉をさげてわたしを見つめているお母さんが目に入った。


 ゆっくりと首を上下に動かすとお母さんはわたしの手をぎゅっと握りしめて「よかった……無事でほんとによかった」と涙を流しながら言った。