ああ、わたし……声が出せるようになったよ。


 それは他の誰でもない、想くんのおかげだ。


 想くんはわたしの声を聞いて驚いたように目を丸くした。


 その数秒後、彼の大きな瞳から透明な雫が幾度となく溢れ出し、枕を濡らす。



「あぁ……よかった……本当に」



 安心したような、嬉しそうな、どちらとも取れる表情を浮かべながら噛み締めるように言った想くん。



「あり、がとう」



 まだ声の出し方に違和感があるけれど、きっとすぐに慣れる。

 いくつものあたたかい涙がわたしの頬をつぅ、と伝う。



「想像通り、優しい……声だ」



 そう言いながらお日様みたいに優しく微笑んでくれる。