想くんがわたしの世界を変えてくれたから。わたしの心を救ってくれたから。


 今なら、きっと――。


 わたしは覚悟を決めて、ゆっくりと口を開いた。



「……ん……」



 かろうじて出た音はあまりに小さくてすぐに空気に溶けて消えた。


 想くんは何も言わずにじっとわたしを見守ってくれている。


 あのね、想くん。


 君のことを想うと、何でもできそうな気がしてしまうんだよ。

 君は本当にすごいよ。


 わたしはそんな君の名前を自分だけの音で君の名前を紡ぎたい。


 真っ直ぐに想くんの目を見てもう一度、口を開いた。



「そ、うくん……っ!」



 数ヶ月ぶりに聴いた自分の声はどこか懐かしかった。