「紗那ちゃんは……俺のこと、忘れちゃうのかな……」



 そう言った想くんの表情は寂しげで、心臓が握り潰されているかのように痛む。


 誰よりも先に空になってしまう想くんの不安は計り知れない。


 想くんの人生はここで終わってしまうけれど、わたしや友達、家族の人生はまだまだこれからも続いていくはず。


 その中で自分の存在が薄れていってしまうかもしれないと思ってるんだ。


 でも、わたしは……わたしは絶対に忘れないよ。



【忘れない。言ったでしょ?想くんがくれたものは全部が宝物だって。わたしはこれから先も想くんがくれた言葉の宝物と一緒に生きていくんだから】



 わたしだけの特別なものだから。