文字を打っている最中もぽろぽろと泣いていたら、



「ほんと泣き虫だなぁ」



 と、声が降ってくる。

 少し呆れたように言いながらもその目尻はすぅっと下がっている。



【想くんの前だけだよ】


「それはなんか可愛い。この先もずっと俺だけだったらいいのに」



 ゆっくりと伸びてきた手がわたしの頭をそっと撫でる。


 だけど、切なさを孕んだその声にわたしの胸がぎゅうっと痛いほど締め付けられた。


 わたしと想くんは同じ未来を生きていけない。
 想くんはもうすぐ空になる。


 わかってはいる。

 頭ではわかっているんだけど、心が追いつかない。