想くんじゃなかったら、きっと今わたしはこんなにも前向きになれていない。
わたしにとって、想くんとの出会いは運命のようで一生に一度あるかないかくらいの奇跡みたいな出来事だった。
彼は静かに読み終えると、わたしに視線を移して柔らかく目を細めてゆっくりと口を開いた。
「俺も、あの日紙飛行機を拾ってよかったと思ってるよ。
正直、あの時は相手が誰なのかわからなかったし、生きたいと思っている俺とは反対に消えたいなんて、どんなやつなんだって思った。
でも、そのおかげで紗那ちゃんとこうして巡り逢えた」
何億分の一の確率で巡り逢ったわたしたちはきっと運命だ。
言葉と言葉が重なって、大きな奇跡に繋がった。