わたしは急いでメモにそう打ち込んで、想くんの肩を軽く叩いて画面を見せた。


 今度は泣きそうに歪んだ顔じゃなく、とびきりの笑顔で。


 想くんの毎日に少しでも楽しみができるように。

 想くんの明日が怖いものではなくなるように。


 わたしの提案を読んだ想くんは一瞬驚いたように目を見開いた。

 そのわずか数秒後、彼の大きな瞳からぽろりと透明の雫がこぼれ落ちた。



【想くん……!?どうしたの!?嫌だった!?】



 急に泣き出した想くんに戸惑いながら慌てて打った文字を見せる。

 なんで泣いてるの!?やっぱりわたしと鶴を折るなんて嫌だったかな。

 自分ではわりといい案だと思ったんだけど。



「あー、こんなはずじゃなかったのに紗那ちゃんってほんとズルい……っ。嫌なわけないでしょ……っ、嬉しい。嬉しくて泣いてるんだよ」


【ふふ、それならよかった。明日から頑張ろうね!】



 わたしは泣いている想くんの涙をそっと親指で拭って柔らかく微笑んだ。

 わたしはまだ、大好きな君と大切な時間を過ごしていたい。


 ――――だから、どうかまだ君が好きな空にはならないで。