お兄さんは爽やかな笑顔でそう言うと、病室から出て行った。


 きっと気を遣ってくれたんだろうな。

 お兄さんも想くんと同じで優しい人だ。



「久しぶり。紗那ちゃん。立ちっぱなしもなんだし、ここに座ってよ」



 お兄さんが出て行き、なんともいえない沈黙を先に破ったのは想くんだった。


 言われたとおりにわたしは近くに合った椅子に腰を下ろした。

 彼のいつもと変わらない笑顔になんだか無性に泣きたくなってくる。


 想くんだ。

 わたしがずっと、ずっと会いたかった人。



【久しぶりだね、想くん。ずっと会いたかった】



 スマホにそう打ち込んで彼に見せる。