「兄貴、今日も来たの……って。君は……」



 お兄さんのあとに続いて病室に入ったわたしに気づいた想くんは目を大きく見開いて言葉を止めた。


 やっぱり、嫌だったかな……?


 そう思いながらも声が出せないわたしは代わりに思い切り頭を下げた。



「どうして君がここに……」



 未だに驚きを隠せずに動揺している想くんにお兄さんが「俺が連れてきた。想が会いたがってた音瀬紗那さんだよ」と笑った。


 ゆっくりと頭を上げた視線の先で想くんがもうどうしようもないなというような表情を浮かべた後、ふっと口許を緩めた。



「さ、邪魔者は退散するよ。二人でたくさん話しな」