エレベーターに乗って一つ上の階でお兄さんは降り、少し歩いたところで、お兄さんは足を止めた。
”301 風上 想”
ドアの横にはそう書かれたプレートが貼られていた。
本当に想くんは風上くんだったんだ。
信じていなかったわけじゃないけど、こうして改めて本人だという揺るぎない証のようなものを見つけるとそう思ってしまう。
―――コンコンコンッ
「想、入るよ」
三回のノックの後、お兄さんはそう言うとゆっくりドアを開いた。
ちらりと盗み見た想くんは壁に飾られた作りかけの千羽鶴をじっと見つめていたけれど、ゆるりと視線をこちらに映しながら小さく口を開いた。