そして、唇にリップをさっと塗って……完了!
【すみません!お待たせしました!】
「大丈夫です。リップ似合ってますよ。さあ、行きましょう」
柔らかく微笑んでくれるその笑顔が想くんにそっくりだ。
さすがは兄妹。
なんて思いながらわたしはベッドから立ち上がった。
もう松葉杖もいらないほど回復しているわたしはお兄さんの後ろを緊張しながらついていく。
ばくんばくん、と自分の心臓の音がうるさい。
緊張する……。
何度か会ったことはあるとはいえ、正体を知った状態で会うのは初めて。
どんなリアクションをするんだろう。
怒られるかな? 喜んでくれるかな?