「弟はもうあとどのくらい生きられるかわからない……だから会ってくれませんか。お願いします。もうあなたじゃないと奇跡は起こせないんです」
わたしに向かって縋るように頭を深く下げたお兄さん。
その声は涙で震えていた。
自分の大切な家族がもうすぐ死んでしまうかもしれないのだから。
想くんがこの世からいなくなってしまうなんて信じられない。
今も元気にサッカーボールを蹴っていると思っていたから。
正直、会いたい。すごく会いたい。
でも、それが想くんのためになるのかな。
想くんはわたしに会いたいのかな。
それに……会ってしまえばきっとわたしは想くんがもっと好きになる。