茉凛がわたしの代わりにドアまで見に行ってくれて、扉の向こうにいる人と何やら会話をしている。
その声は聞く限り知らない男性の声だった。
人違いかな……?
なんて思いながら、窓から見える空を見上げていると
「紗那!お客さんが来たみたいだからわたしは帰るね!また来るから!バイバーイ!」
茉凛が荷物を持って足早に病室から出て行ってしまった。
お客さんって誰なの……!?
ゆっくりと病室に入ってきた男性はネイビーのスーツを着ていて、みるからにわたしよりも年上だ。
それに……風上くんに顔が似ていた。
「突然すみません。僕は風上陸と申します。あなたが音瀬紗那さんですか?」