どうしようもなく好き。


 薄々感づいてはいた気持ちを改めて自覚すると急激に恥ずかしさが襲ってくるけれど、事実は変えられない。

 会ったこともない人に恋しちゃうなんておかしいかもしれないけれど、わたしは想くんに救われたんだ。


 想くんはわたしのことを一度も否定せずに優しくそっと寄り添ってくれていた。


 想くんだったから打ち明けられたんだ。


 ピアノのこともそう。
 想くんの言う通り、好きだからずっと続けてこれた。


 わたしはピアノを弾いている瞬間だけが唯一本当の自分でいられた気がしていた。

 鍵盤を弾いて誰にも真似できない自分だけの音を奏でている時間が好きだった。