「紗那ちゃんが泣いてたら空から俺が笑顔になる魔法をかけてあげる」
まるで、想くんみたいなことを言う風上くん。
二人は似た者同士な気がする。
底抜けに優しい二人にわたしは救われている。
【ありがとう。じゃあ、わたしも風上くんを笑顔にできるように頑張らなきゃね】
空になりたい、と言った彼の本当の気持ちはわからない。
でも、この前屋上で会ったときよりもまた少し痩せているような気がした。
「紗那ちゃんがいてくれるだけで俺は十分楽しいよ」
【またそんなこと言っちゃって】
「ほんとだよ。紗那ちゃん、ありがとう」
【どうしたの?そんなに急に改まって】
「なんとなく伝えたくなった」
わたしに”ありがとう”と伝えた風上くんのその表情はどこか寂しそうで、瞳が切なげに揺れていた。