「ほら、泣いてばっかりいないで笑いなさい」



 そう言いながらお母さんがわたしの頬を無理やり軽く引っ張る。



【痛いよ~~】



 わたしは笑いながらスマホに文字を打ち込んでお母さんに見せる。



「笑ってる方が可愛いんだから」



 お母さんが口許を緩めてわたしの頭をそっと撫でた。


 わたしはお母さんとお父さんの子供として生まれたことを神様にすごく感謝するよ。
 それに茉凛や想くん、風上くんという素敵な人たちに出会わせてくれたことも。



 そして、しばらく二人で何気ない会話をした後、お母さんは用事があるそうで一旦家に帰って行った。


 
 午後7時すぎ。


 すっかりと日が沈んだ世界でわたしは屋上へ向かった。