「声が出なくたって、ピアノが弾けなくたって紗那はお母さんとお父さんの大切な娘には変わりないんだから。何があってもお父さんとお母さんは紗那が大好きだよ。だからそんなに思い詰めないで。紗那がみんなのこと疑っちゃうなら信じられるまでお母さんたちは紗那が大切だって伝え続ければいいだけよ」



 目にいっぱい涙を溜めたお母さんの瞳がまっすぐにわたしを捉えて離さない。


 その温かい言葉がじんわりとわたしの心に広がって染み渡っていく。


 わたしは涙で頬を濡らしながらその気持ちに答えるように何度も何度も頷いて見せた。


 そんなふうに思ってくれていたなんて。


 やっぱりちゃんと伝えなきゃわからない。