【お母さん、ごめんね】
泣き止んでしばらくして落ち着いたわたしはお母さんにスマホの画面を見せた。
「何を謝る必要があるの?紗那は何も悪くないでしょ」
【わたし、声も出なくなっちゃってピアノも弾けなくなって……迷惑とか心配かけてごめんなさい。何もないわたしに優しくしてくれてるのに疑ってごめんなさい】
打ち込んで画面を見せた瞬間、またわたしの頬を涙が伝った。
スマホを持っている手は情けないほど震えている。
勇気を出さなきゃ伝えられない言葉だった。
なんて言われるのか怖くて、仕方ない。
すると、お母さんの手がわたしの方へ伸びてきて思わずきゅっと目を瞑った。