――――音瀬さん、あなたは失声症を患っています。
失声症とは精神的なストレスやある出来事から突然声が出なくなってしまう病気のこと。
そして、わたし音瀬紗那は17歳の高校二年生になって半年ほどが経った頃、つい一ヶ月前お医者さんにそう診断された。
わたしの場合はある出来事がきっかけで発症したと言われた。
いきなり声が出なくなってしまったわたしは普段、筆談かスマホで文字を打ち込んで話している。
そのせいで、元々行きたくなかった学校にももっと行きたくなくなってしまった。
はあ、とため息をこぼしながら考え事をしていたのが悪かった。
―――キィィ!
耳をつんざくほどのけたたましいブレーキ音が聞こえたと思ったら目の前に車がいてとてつもない衝撃が身体中に走った。