その時、私はジュリス君の傍らに居るべきはずの人物の姿が見えないことに気づいた。

「ジュリス君…。君、一人なの?」

「…」

私が尋ねると、ジュリス君は苦い顔で黙り込んだ。

ま、まさか…。

私と羽久がはぐれたように、ジュリス君も…。

「…はぐれちゃったの?ベリクリーデちゃんと…」

「…そうらしいな。気づいた時には、あいつの姿はなかった」

「…!」

…そう、そうなんだ。

危険だから、気心の知れたパートナー同士で、二人一組のペアで行動するつもりが。

初っ端からペア同士を引き離されて、シャッフルされた状態になっている。

私がジュリス君と合流出来たように、羽久もベリクリーデちゃんか…仲間の他の誰かと一緒だと良いのだが。

この際、単独行動じゃないなら、ペア割りは誰でも構わないよ。

「ジュリス君…。…他の皆は…?」

「あんたが目を覚ますまで、少し周囲を歩き回ってみたが…。残念ながら、あんた以外は見つけられなかった」

「…そう…」

じゃあ、このお墓に飛ばされたのは、私とジュリス君だけで。

他の仲間達は、違う場所にいるんだね。

…無事だと良いけど…。

「こうなったら、仕方ない。俺もあんたも、相棒と別れてしまってるんだから…」

「…」

「この際、お互い相棒と合流するまで、一時的に組もうぜ。一人で行動するより安全だろ」

そうだね。

私も、今同じことをジュリス君に言おうと思っていたところだよ。

「分かった。私もその方が良いと思う…」

心細いもんね。この状況で一人きりなんて…。

羽久のことも、ベリクリーデちゃんのことも心配だけど。
 
ひとまず、ジュリス君が一緒にいてくれるとなれば、それだけで大層心強い。

これ、私一人ぼっちでお墓に取り残されていたら。

今頃悲鳴を上げまくって、お墓を荒らしたことを必死に土下座して謝ってたと思う。

ジュリス君がいてくれて、本当に良かった…。