崩壊しかけた瓦礫の廊下を、慎重に進んでいくと。

いきなり、天井の高い、大広間のような場所に出た。

何だ?ここ…。

まるで、教会の礼拝堂のような場所だった。

ベリクリーデは、その大広間にぽつんと立っていた。

「…ベリクリーデ…?」

「…」

名前を呼んでも、ベリクリーデは返事をせず。

ただじっと立ち尽くして、その場所を眺めていた。

…何だろう、ここ。

気の所為だろうか。背中がぞわぞわするような、胸が締め付けられるような…嫌な感じがする。

少なくとも…ここは、竜の祠ではなさそうだ。

もっと別の…。もっと昔の、神聖な…。

「…ベリクリーデ?」

「…私、ここ…。…ってる…」

…え?

「ベリクリーデ…?今、なんて…」

…次の瞬間。

くるりとこちらを振り向いたベリクリーデの気配が、別人のそれに変わっていることに気づいた。

…えっ…?