すると。
これまで沈黙を守っていた無闇が、口を開いた。
「『門』を守る役目を引き受けるのは構わない。が…遠征のメンバーはどうするつもりだ?他に誰が冥界に行くのか…もう決まってるのか」
…あぁ、そういやそれを話してなかったな。
キュレム、ルイーシュペア以外の遠征メンバーについては、既にイーニシュフェルト魔導学院サイドで話をつけてある。
「決まってるよ。俺とシルナ、天音とナジュ、それから令月とすぐりの三組だ」
まぁ、いつものメンバーってところだな。
そして、これが一番不安のない人選である。
「イレースさんは?」
「イレースちゃんはお休みだよ。…さすがに、学院に一人も教師が残ってないと不味いからね」
二人一組の原則を守ろうと思ったら、人数的に、どうしても一人余ってしまうからな。
それにシルナの言う通り、学院に一人も教師が残ってないのは不味い。
などの諸々の事情を鑑みて、イレースが一人、学院に残ることになった。
「…ごめんな、イレース。また留守番…」
「構いませんよ、私は。むしろ、乱れに乱れた学院の風紀を正す、絶好の機会です」
えっ。
「あなた方がいない間に、学院の風紀を厳しく取り締まるとしましょう。当分帰ってこなくて良いですよ」
…やべぇ。
俺とシルナは、揃って顔を見合わせた。
シルナなんて、既に青ざめている。
俺達が冥界から帰ってきた暁には、生徒達が軍隊式に、敬礼して挨拶をするようになっているかもしれない。
…よし。くれぐれも早く帰ってこよう。何なら半日、いや、数時間くらいで帰ってこようぜ。
「ということは、学院組とキュレムとルイーシュを合わせて、計四組…。8人で遠征に行くということか?」
と、尋ねる無闇。
いや。
実は、もう一組…あと二人、遠征メンバーに加わってもらうつもりでいるのだ。
そのメンバーというのは。
「…えぇと、ジュリス君」
「…」
残るもう一組のメンバーのうち、片方に声をかけると。
部屋の隅の方で、黙って腕組みをして事の成り行きを見守っていたジュリスが、苦い顔を上げた。
…何だか、非常に申し訳ない。
「…えーと…ジュリス君、ちょっと良いかな…」
これには、シルナもたじたじ。
「…何だよ?」
「え、えっと…。もし良ければ…なんだけど」
「まさか、俺にも遠征メンバーに加われ、って言うんじゃないだろうな?」
…そのまさかである。
「…頼めないかな?」
「…はぁ…」
その大きな溜め息よ。
申し訳なくなってくるな。…非常に。
「…まぁ、お鉢が回ってくるじゃないかとは思ってたよ…」
だろうな。
ジュリスはこの中で、シルナの次に人生経験が豊富だからな。
聖戦の時代を生き抜いてきたこともあって、いかなる状況でも瞬時に対処出来る、高い適応力がある。
何が起こるか分からない冥界に、一緒に行ってもらうには最高の人材なのである。
…というとはまぁ、俺達の勝手なのだが。
これまで沈黙を守っていた無闇が、口を開いた。
「『門』を守る役目を引き受けるのは構わない。が…遠征のメンバーはどうするつもりだ?他に誰が冥界に行くのか…もう決まってるのか」
…あぁ、そういやそれを話してなかったな。
キュレム、ルイーシュペア以外の遠征メンバーについては、既にイーニシュフェルト魔導学院サイドで話をつけてある。
「決まってるよ。俺とシルナ、天音とナジュ、それから令月とすぐりの三組だ」
まぁ、いつものメンバーってところだな。
そして、これが一番不安のない人選である。
「イレースさんは?」
「イレースちゃんはお休みだよ。…さすがに、学院に一人も教師が残ってないと不味いからね」
二人一組の原則を守ろうと思ったら、人数的に、どうしても一人余ってしまうからな。
それにシルナの言う通り、学院に一人も教師が残ってないのは不味い。
などの諸々の事情を鑑みて、イレースが一人、学院に残ることになった。
「…ごめんな、イレース。また留守番…」
「構いませんよ、私は。むしろ、乱れに乱れた学院の風紀を正す、絶好の機会です」
えっ。
「あなた方がいない間に、学院の風紀を厳しく取り締まるとしましょう。当分帰ってこなくて良いですよ」
…やべぇ。
俺とシルナは、揃って顔を見合わせた。
シルナなんて、既に青ざめている。
俺達が冥界から帰ってきた暁には、生徒達が軍隊式に、敬礼して挨拶をするようになっているかもしれない。
…よし。くれぐれも早く帰ってこよう。何なら半日、いや、数時間くらいで帰ってこようぜ。
「ということは、学院組とキュレムとルイーシュを合わせて、計四組…。8人で遠征に行くということか?」
と、尋ねる無闇。
いや。
実は、もう一組…あと二人、遠征メンバーに加わってもらうつもりでいるのだ。
そのメンバーというのは。
「…えぇと、ジュリス君」
「…」
残るもう一組のメンバーのうち、片方に声をかけると。
部屋の隅の方で、黙って腕組みをして事の成り行きを見守っていたジュリスが、苦い顔を上げた。
…何だか、非常に申し訳ない。
「…えーと…ジュリス君、ちょっと良いかな…」
これには、シルナもたじたじ。
「…何だよ?」
「え、えっと…。もし良ければ…なんだけど」
「まさか、俺にも遠征メンバーに加われ、って言うんじゃないだろうな?」
…そのまさかである。
「…頼めないかな?」
「…はぁ…」
その大きな溜め息よ。
申し訳なくなってくるな。…非常に。
「…まぁ、お鉢が回ってくるじゃないかとは思ってたよ…」
だろうな。
ジュリスはこの中で、シルナの次に人生経験が豊富だからな。
聖戦の時代を生き抜いてきたこともあって、いかなる状況でも瞬時に対処出来る、高い適応力がある。
何が起こるか分からない冥界に、一緒に行ってもらうには最高の人材なのである。
…というとはまぁ、俺達の勝手なのだが。