「ごめんね。でもルイーシュ君は、空間魔法のプロだから…。異界である冥界に行くには、一緒についてきてくれると心強いんだよ」
シルナがルイーシュを選んだ理由は、この点である。
「空間魔法に詳しいって言っても、さすがに冥界のことは分かりませんよ、僕には」
「大丈夫だよ。単純に戦力としても、ルイーシュ君なら全く申し分ないからね」
同意。
ルイーシュの実力は、俺もよく知るところ。
そして、ルイーシュが本当に真価を発揮するのは…。
「それで…ルイーシュ君がメンバーに加わるなら、一緒に…」
「…何?俺、ルイーシュの付属品感覚?」
視線を向けられたキュレムが、無表情に呟いた。
キュレムが付属品だとしたら、超強力な付属品だな。
「君も一緒に来てくれると、物凄く心強いんだけどな」
「ほぼルイーシュの世話係だろ?」
「え、えぇっと…」
「良いよ、別に。冥界でも地獄の一丁目でも。ルイーシュのいない現世で生きるよりはマシだろ」
…頼もしい言葉をどうも。
基本的に遠征チームは、二人一組を一つの行動単位として考えている。
この条件で言えば、キュレムとルイーシュは完璧だな。全く隙がない。
それから…。
「俺も行きます」
自ら、危険な冥界への遠征に立候補してくれたのは。
「吐月…」
この中で唯一の召喚魔導師、吐月であった。
状況が状況だから、自ら立候補してくれるのは大変有り難い。
「恐らくこの中で俺が一番、冥界に『適応』出来るはずです。ベルフェゴールの力を借りれば…」
「ありがとう、吐月君…。だけど、君はやめた方が良いと思うんだ」
有り難い申し出…ではあったが。
シルナは、丁重にその申し出を退けた。
「…!どうしてですか?」
「君の実力を疑ってるんじゃないよ。勿論…。私達より遥かに、冥界について詳しいしね」
そういう意味では、吐月の同行を断るのは非常に惜しいのだ。
正直、俺としては吐月に一緒に来て欲しい。
だが、そうは行かない理由があるのだ。
「でも…君の血、君の魔力は…魔物にとって魅力的過ぎる。恐らく、格好の餌にされてしまうんじゃないかな」
「…!それは…」
吐月の血や魔力は、魔物にとって極上の蜜のようなもの。
人間である俺には、さっぱり分からない感覚だが。
吐月のように魔物と相性の良い魔力の持ち主は、最高に美味しそうな餌に見えてしまうらしい。
早い話が、吐月を冥界に連れて行くと、さながら魔物ホイホイになってしまう訳だ。
出来れば俺達は、魔物との交戦は避け、正体を隠して、こっそりと空き巣のように竜の祠を探したいと思っている。
竜の祠から封印されている心臓を盗み出そうとしているのだから、実際空き巣である。
しかし吐月を連れて行けば、吐月という「餌」に釣られて、たくさんの魔物が寄ってきかねない。
そうなると…こっそり空き巣をするには、目立ち過ぎてしまうのだ。
それが、吐月を連れて行けない一つ目の理由だ。
シルナがルイーシュを選んだ理由は、この点である。
「空間魔法に詳しいって言っても、さすがに冥界のことは分かりませんよ、僕には」
「大丈夫だよ。単純に戦力としても、ルイーシュ君なら全く申し分ないからね」
同意。
ルイーシュの実力は、俺もよく知るところ。
そして、ルイーシュが本当に真価を発揮するのは…。
「それで…ルイーシュ君がメンバーに加わるなら、一緒に…」
「…何?俺、ルイーシュの付属品感覚?」
視線を向けられたキュレムが、無表情に呟いた。
キュレムが付属品だとしたら、超強力な付属品だな。
「君も一緒に来てくれると、物凄く心強いんだけどな」
「ほぼルイーシュの世話係だろ?」
「え、えぇっと…」
「良いよ、別に。冥界でも地獄の一丁目でも。ルイーシュのいない現世で生きるよりはマシだろ」
…頼もしい言葉をどうも。
基本的に遠征チームは、二人一組を一つの行動単位として考えている。
この条件で言えば、キュレムとルイーシュは完璧だな。全く隙がない。
それから…。
「俺も行きます」
自ら、危険な冥界への遠征に立候補してくれたのは。
「吐月…」
この中で唯一の召喚魔導師、吐月であった。
状況が状況だから、自ら立候補してくれるのは大変有り難い。
「恐らくこの中で俺が一番、冥界に『適応』出来るはずです。ベルフェゴールの力を借りれば…」
「ありがとう、吐月君…。だけど、君はやめた方が良いと思うんだ」
有り難い申し出…ではあったが。
シルナは、丁重にその申し出を退けた。
「…!どうしてですか?」
「君の実力を疑ってるんじゃないよ。勿論…。私達より遥かに、冥界について詳しいしね」
そういう意味では、吐月の同行を断るのは非常に惜しいのだ。
正直、俺としては吐月に一緒に来て欲しい。
だが、そうは行かない理由があるのだ。
「でも…君の血、君の魔力は…魔物にとって魅力的過ぎる。恐らく、格好の餌にされてしまうんじゃないかな」
「…!それは…」
吐月の血や魔力は、魔物にとって極上の蜜のようなもの。
人間である俺には、さっぱり分からない感覚だが。
吐月のように魔物と相性の良い魔力の持ち主は、最高に美味しそうな餌に見えてしまうらしい。
早い話が、吐月を冥界に連れて行くと、さながら魔物ホイホイになってしまう訳だ。
出来れば俺達は、魔物との交戦は避け、正体を隠して、こっそりと空き巣のように竜の祠を探したいと思っている。
竜の祠から封印されている心臓を盗み出そうとしているのだから、実際空き巣である。
しかし吐月を連れて行けば、吐月という「餌」に釣られて、たくさんの魔物が寄ってきかねない。
そうなると…こっそり空き巣をするには、目立ち過ぎてしまうのだ。
それが、吐月を連れて行けない一つ目の理由だ。