「それで?問題は、その7つ目の心臓とやらが、何処にあるのかだと思いますけど」
イレースが、険しい顔をしてナジュを問い詰めた。
「偉そうに私達に講釈したんですから、当然、在り処くらいは知ってるんでしょうね」
「それが、そこまでは僕にも分からないんですよね」
…。
…分からないのかよ。
「ちっ…。この役立たず…」
イレースが毒づいてる。
「酷くないですか?僕は皆さんに希望を与えようと、リリスに嫌われる危険を犯し、必死に情報を聞き出したのに…」
「肝心なことが分かってないのだから、不充分です。この際あなたが嫌われるのは一向に構いませんから、無理矢理にでも聞き出してきなさい」
鬼だな。イレースは。
「ひっど!僕とリリスは相思相愛ですよ。これまでも、これからも。どんなことがあってもね」
「良いから、他に何かヒントはないんですか」
最後の心臓の在り処が分からなければ、どうにも…。
すると、すぐりが片手を上げて尋ねた。
「ねぇ、その7つ目の心臓って、ほんとーに存在してるの?」
「は?」
「生まれた時盗られたんでしょ?とっくに捨てられて、跡形もなくなってるんじゃない?」
…確かに。
マシュリの身体から奪い取った心臓を、大事に保管してくれているとは思えない。
しかし。
「それは大丈夫です」
ナジュはきっぱりと答えた。
ほう?
「はっきりとした場所は分かりませんが、7つ目の心臓は、人質…ならぬ、物質として神竜族に奪われ、竜の祠に封印されているそうです」
とのこと。
…竜の…祠?
「それって、何処なんだ…?」
「確かなのは、冥界の何処かってことだけですね」
冥界の何処か…竜の祠という場所に、マシュリの最後の心臓が封印されているというのとか。
じゃあ、その竜の祠を見つけて、マシュリの心臓を取り戻せば…。
…万事、全て解決ってことじゃね?
「そういうことです、羽久さん。…ね?僕の情報、役に立ったでしょう?」
「あぁ…。その得意げな態度はムカつくが、お陰で希望を失わずに済んだよ…」
冥界の何処かに、マシュリが生き延びられる希望が残っている。
これを知ることが出来ただけで、充分だ。
ようやく、絶望の中に一条の光が差し込んだ気分。
しかし。
「安心するのはまだ早いですよ、皆さん」
ナジュが、鋭く警告を発した。
「な、何で?マシュリさんの心臓、冥界に行けばあるんでしょう?それなら、喜ぶべきじゃ…」
「甘いですよ、天音さん。誰もがあなたのようにお人好しじゃないですからね」
「うっ…」
痛いところを突かれたらしい天音。
お人好しって言ってやるなよ。優しいって言ってやれ。
「何の為に、わざわざ神竜族がマシュリさんの心臓を奪ったと思ってるんですか。マシュリさんの命を人質に取る為なんですよ」
…そうだよな。
実質、マシュリの生殺与奪の権は神竜族にある、と言っても過言ではない。
俺達がのこのこ訪ねていって、「マシュリの心臓を返してください」と言ったところで。
「はいそうですか」と、あっさり返してくれるとは思えない。
絶対無理。あの頑固で頭の固い竜族の連中が、素直にマシュリの心臓を返してくれるはずがない。
恐らく、力ずくで奪い返すことになるだろう。
つまり、神竜族との争いは避けられない。
「だから、散々危険だって最初に警告したんですよ」
と、ナジュが言った。
イレースが、険しい顔をしてナジュを問い詰めた。
「偉そうに私達に講釈したんですから、当然、在り処くらいは知ってるんでしょうね」
「それが、そこまでは僕にも分からないんですよね」
…。
…分からないのかよ。
「ちっ…。この役立たず…」
イレースが毒づいてる。
「酷くないですか?僕は皆さんに希望を与えようと、リリスに嫌われる危険を犯し、必死に情報を聞き出したのに…」
「肝心なことが分かってないのだから、不充分です。この際あなたが嫌われるのは一向に構いませんから、無理矢理にでも聞き出してきなさい」
鬼だな。イレースは。
「ひっど!僕とリリスは相思相愛ですよ。これまでも、これからも。どんなことがあってもね」
「良いから、他に何かヒントはないんですか」
最後の心臓の在り処が分からなければ、どうにも…。
すると、すぐりが片手を上げて尋ねた。
「ねぇ、その7つ目の心臓って、ほんとーに存在してるの?」
「は?」
「生まれた時盗られたんでしょ?とっくに捨てられて、跡形もなくなってるんじゃない?」
…確かに。
マシュリの身体から奪い取った心臓を、大事に保管してくれているとは思えない。
しかし。
「それは大丈夫です」
ナジュはきっぱりと答えた。
ほう?
「はっきりとした場所は分かりませんが、7つ目の心臓は、人質…ならぬ、物質として神竜族に奪われ、竜の祠に封印されているそうです」
とのこと。
…竜の…祠?
「それって、何処なんだ…?」
「確かなのは、冥界の何処かってことだけですね」
冥界の何処か…竜の祠という場所に、マシュリの最後の心臓が封印されているというのとか。
じゃあ、その竜の祠を見つけて、マシュリの心臓を取り戻せば…。
…万事、全て解決ってことじゃね?
「そういうことです、羽久さん。…ね?僕の情報、役に立ったでしょう?」
「あぁ…。その得意げな態度はムカつくが、お陰で希望を失わずに済んだよ…」
冥界の何処かに、マシュリが生き延びられる希望が残っている。
これを知ることが出来ただけで、充分だ。
ようやく、絶望の中に一条の光が差し込んだ気分。
しかし。
「安心するのはまだ早いですよ、皆さん」
ナジュが、鋭く警告を発した。
「な、何で?マシュリさんの心臓、冥界に行けばあるんでしょう?それなら、喜ぶべきじゃ…」
「甘いですよ、天音さん。誰もがあなたのようにお人好しじゃないですからね」
「うっ…」
痛いところを突かれたらしい天音。
お人好しって言ってやるなよ。優しいって言ってやれ。
「何の為に、わざわざ神竜族がマシュリさんの心臓を奪ったと思ってるんですか。マシュリさんの命を人質に取る為なんですよ」
…そうだよな。
実質、マシュリの生殺与奪の権は神竜族にある、と言っても過言ではない。
俺達がのこのこ訪ねていって、「マシュリの心臓を返してください」と言ったところで。
「はいそうですか」と、あっさり返してくれるとは思えない。
絶対無理。あの頑固で頭の固い竜族の連中が、素直にマシュリの心臓を返してくれるはずがない。
恐らく、力ずくで奪い返すことになるだろう。
つまり、神竜族との争いは避けられない。
「だから、散々危険だって最初に警告したんですよ」
と、ナジュが言った。